広河原から北岳肩ノ小屋へ入り、2日目に山梨百名山の小太郎山を往復したあと、北岳・間ノ岳へ登り農鳥小屋へ、3日目に農鳥岳から奈良田へ下る周遊コースを歩く。
広河原から北岳・間ノ岳・農鳥岳へは以前に登ったことがあるが、その時は2泊目は一気に奈良田温泉まで下る計画で、日没した後も疲れた体に鞭打ってやっとの思いで民宿にたどり着いた思い出がある。
山梨百名山の小太郎山を加え2泊3日で効率的に回るためには、本来 奈良田温泉を早朝6時のバスに乗れれば、広河原から二俣を経て小太郎山をピストンしてから、肩ノ小屋に向かうことが出来るのだが、残念ながら6時発のバスに乗るにはかなり無理があるため、このようなプランにしたものだ。
1日目(2011/7/16)
コースタイム(行動時間 7時間) 単独
奈良田温泉8:02-バス-広河原8:50~9:00-二俣11:20~11:30-小太郎尾根14:20~14:25-北岳肩ノ小屋15:00
奈良田温泉の先にある広い無料の駐車場は、3連休の初日だけあってすでに多く車が停まっていた。 バスの出発は奈良田温泉からで、バス停まで徒歩で戻らねばならないのかと思っていたら、この駐車場もバスの停留所になっているようで、8:00のバスはこの駐車場を8:02に発車する時刻表が掲示してあった。
奈良田温泉から数名の登山客を乗せたバスはこの駐車場で丁度座席分の客で埋り出発。 広河原に定刻通りに到着したバスを降り、手早く支度を済ませ吊橋付近まで来るとこの景色が待っている。 今日は雲一つない空で最高のコンディションだ。 大樺沢に沿って時折り咲く道端の花を愛でながら歩き、2度目の休憩ポイントでこの二俣に到着。 ここで簡単な昼食をすませる。 この付近で目にする花々の主なものは次のようなものだが、他にももちろんシナノキンバイのお花畑あり、コイワカガミや・・・とにかく花に囲まれた登山道になっている。 ミヤマハナシノブ ハクサンフウロ ミヤママンネングサ ミヤマクロユリ クルマユリ グンナイフウロ ハクサンチドリ タカネナデシコ お花畑の斜面を登り詰め、とようかやく小太郎尾根の稜線に到着。広河原から5時間20分を要した。 今まで山腹をつづら折れに登ってきたが、ここで一気に展望が開け、すばらしいの一言と共にしばらく景色に見とれる。 あいにく今回の目的地の一つである小太郎山、そして甲斐駒ケ岳方面はガスの中だが、その左手の仙丈ヶ岳はどっしりとその姿を見せてくれている。 そして、稜線を見上げると北岳はガスにカスレ気味だが気持ち良い稜線の奥に確認できる。 肩ノ小屋到着15:00丁度、今日は大変な混雑だ。 受付を済ませたあとも、場所が決まるまで少し待機しようやく3号館2Fにスペースを与えられる。 この小屋は寝具はシュラフだ。スシ詰め状態ではむしろそのほうが 都合が良い。 また、小屋の前には大型の特設テントが5~6張り設営されており、今日の賑わいぶりを象徴している。 少し落ち着いた頃から甲斐駒ヶ岳付近にかかっていた雲も取れ小屋の前からの展望もご覧のようにすばらしいものになる。 丁度アサヨ峰と甲斐駒の間にまだ少し雲が残っているため山も特定しやすい。 小太郎山の頂上も、ここから見るとテントの奥に少し顔をのぞかせているだけだ。 今日は疲れからか余り食欲がなく、晩の食事も大分残してしまった。 明日は早朝に出発するので、準備してもらったお弁当を受取り、部屋で明日小太郎山まで行く際のザックを準備し大分早いがそのまま就寝。 2日目(2011/7/17)
この付近から沢の中は雪渓が残っているが斜面には多くの花であふれている。
コースタイム(行動時間 10時間50分)
北岳肩ノ小屋3:45-小太郎山5:30~5:55-北岳肩ノ小屋8:00~8:15-北岳9:05~9:10-中白根山11:55-間ノ岳13:20~13:25-農鳥小屋14:35
小屋の朝は早く、私が出発した3:45ごろはすでに多くの人が起きて出発準備をしていた。ヘッドランプの明かりを頼りに小太郎山へ向かい出発。
途中、振り返ると北岳への登山道に多くのヘッドランプの明かりが見えたが何処まで行くのか?
写真は小太郎山に向かい1時間ほどたって見た朝日に輝く北岳の姿。
これは小太郎山へ向かう稜線の様子を帰路に撮影したものだが、稜線上の登山道は赤ペイントも多く一部不明瞭な箇所もあるが総じて問題なくそして気持ちよく歩ける。
ただ、この写真で見る以上に山頂に至るまでの間にアップダウンが多くピークを見上げて登り詰めたらまだ先にもう一つピークがあるというものだった。
山頂到着5時30分。
肩ノ小屋から1時間45分だった。
こんもりした山頂部はハイマツで覆われている。
静かなこの山頂で朝食休憩。
早朝の小太郎山山頂からは標高日本一のすばらしい富士山と標高二位の北岳のワンツーショット。
もちろん間近に大きくどっしりとした仙丈ヶ岳とアサヨ峰そしてその奥に甲斐駒ヶ岳のすばらしい景色を堪能する。
山頂での静かな一時を過ごしたあと再び肩ノ小屋へ戻る途中
思いがけず雷鳥の家族に会うことが出来た。
親鳥の陰に雛鳥も居ます。 他にもう一羽の雛もいたので少しの間 見させてもらいました。
北岳肩ノ小屋への帰着は丁度午前8時で、小太郎山から2時間5分でした。
休憩込みで4時間15分かかったことになる。
8:15、小屋で荷物のパッキングをしなおし改めて北岳へ向け出発。
大分遅い時間になったので小屋からの登りもそう多くの人はいなかったが、それでも人が途切れることがない。
山頂まで丁度50分、9:05着。
山頂での一時はすばらしい景色を堪能させてくれる。
富士山を初め仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山、北アルプス、中央アルプスの山並み、そしてお隣の間ノ岳と確認していくとすべて確認出来そうな展望だ。
山頂から少し下ると、中白根岳へ続く稜線の下に北岳山荘の赤屋根が見えて来た。
間ノ岳への稜線に付いた登山道もはっきり確認できる。
稜線の西の斜面は一面のお花畑でまさに花で溢れている。
道端にはこんなミヤマオダマキやチョウノスケソウにも出会うことが出来ました。
11時丁度に北岳山荘の横を通過し緩やかな斜面を登り切ると中白根山に着く。
山頂は広く大きい。
正面に迫ってくる間ノ岳に大分雲が広がっているのが気になるが・・・。
間ノ岳山頂に着いたときには残念ながらガスに覆われ視界が得られなかった。
今までの晴天が逆に幸運だったと思い、この中で少し休憩。
間ノ岳山頂で小休止のあと、ガレ場の下りをこなし1時間ほどで農鳥小屋近くに来ると今までのガスが切れ農鳥岳までの稜線が綺麗に姿を現した。
14:35農鳥小屋到着。
ちょっと長い一日がようやく終わり、小屋の一角でくつろいでいると間ノ岳や農鳥岳にかかっていた雲も綺麗に取れすべてが見渡せる素晴らしい天気となった。
夕食まで大分時間があるので、小屋から往復30分の距離だという水場まで水汲みに行った。
しかし、水場は意外に遠く30分で往復するのは少しキツイ。水場での水汲みの時間も入れると40~50分は見ておいた方が良さそうな感じだ。
今日の小屋はほぼ満員で、敷布団2枚に3人と云う状態。
昨日の夕飯同様、今日も食欲がなく殆ど残したまま食事を終え早々に就寝。
3日目(2011/7/18)
コースタイム(行動時間 8時間10分)
農鳥小屋4:35-農鳥岳6:20~6:30-大門沢下降点7:20~7:30-大門沢小屋9:35~9:40-奈良田温泉駐車場12:45
昨日は夕方にカミナリが鳴り夕立があるかと思ったが、結局雨はなく、今朝も晴れの天気で問題なさそうだ。
小屋の出発は午前4時35分、朝日は辻山付近から登るようだが、富士周辺も見事に朝焼けとなる。
山頂には笠雲がかかるが素晴らしい天気だ。
出発から丁度1時間。
西農鳥岳付近から眼下に農鳥小屋を臨む。
奥には間ノ岳そして北岳も顔を覗かせている。
今回の山行の最後の目的地農鳥岳到着6時20分。
最後に周囲の景色をじっくり楽しむ。 塩見岳(右)の姿もここ農鳥岳から見ると大分近くに見え、大きく広がっている。 そして悪沢岳、荒川岳の山塊(中央)も大きくなってきた。 大門沢の下降点は農鳥岳から50分、この間も登山道脇に高山植物が多く、時折り花を楽しみながらの下山となった。 稜線上では最後のこのポイントで後はひたすら下山のみとなる。 大門沢下降点から下山が始まりようやく沢が望める地点に到着。 ここまで、1時間10分を要する。
沢に沿っての下山が始まり花との出会いが増えた。
改めてここで今日出合った花たちを紹介する。
ミネズオウ ホタルブクロ シモツケソウ ムヨウラン ?
大門沢小屋で小休止の後、少しの間 沢沿いに下るが、こんな橋での渡渉が何回か続く。
橋のない場所もあり、水量が多いときには渡渉に苦労しそうだ。
ようやく最初の発電所の取水口のある吊橋に着く。
ここからもうまもなく林道となり、後はひたすら舗装道路を一路駐車場を目指す。
駐車場着12:45。
大門沢下降点から5時間15分でようやく長い道のりに終わりを告げた。
後は、楽しみにしていた温泉だ。
奈良田の里温泉の駐車場から徒歩5分ほどの高台にある温泉は、行くまでに疲れた体には少ししんどいがヒノキの浴槽はアルカリ質の強いぬるぬるの温泉でいいお湯だ。
ここで、のんびり湯につかったあと食堂で久々のまともな昼食のざるソバをいただき、後は自宅へゆっくり帰宅の途につく。