久々の東海道を歩く旅も、今日は下り主体の行程となるので三島の次の沼津宿まで足を伸ばす予定だ。
日曜日でもまだ早い時間ではバスの客もまばらで、箱根町バス停を下りたのは数名だ。
まずは芦ノ湖湖畔に赴き湖面に浮かぶ海賊船と富士山のカットを撮影。
しかし、残念ながら正面の富士山には大分雲がかかっている。
芦ノ湖畔から前回の旅を終えた箱根駅伝スタート・ゴールの石柱がある地点に来たあと、道路の対面にある左の案内板に箱根宿の成り立ちが書かれていた。
それによると箱根宿は1618年(元和4年)に江戸幕府がこの地の山野を拓き、伊豆国三島宿と相模国小田原宿から各50戸(約600人)の移住を願い、人為的に箱根宿を創設したとある。
このような幕府の施策によって生まれた宿とは想像もせず、意外な気がした。
箱根旧街道の入口にある石仏の横から向坂の石畳の坂道が始まる。
石畳道は前回の旅ではスニーカーを履いての旅で、大分歩きにくかったことから、今回は軽登山靴での登り坂だ。
それにしても、箱根峠までの1kmほどの間に坂の名前が向坂に始まり赤石坂、釜石坂、風越坂と次々に変わっているようだが、実際にこの急な石畳の道を作り上げ、維持していくことを考えると、わずかな距離でも大変な苦労があるので、夫々歴史的な背景があるのだろうと考えるとなぜか納得できる。石畳道から国道1号に出て左折をし5分ほどで箱根峠に着く。 ここに大きな駐車場があり大型トラックが多く集まっているが、この駐車場の一角には新箱根八里記念碑として八つの新地蔵がある。 それぞれが著名人の一文を掲げた地蔵だ。 写真は橋本聖子氏の「細心大胆」の文字を抱えた地蔵。
駐車場を出てゴルフ場へ向かう道を200~300mほど進み、左に入ると東海道の箱根西坂の始まりとなる。 最初は少し背丈の高い笹と云う程度だったが、途中からご覧のような笹トンネルで、めったにお目にかかれない景色となる。
写真は接待茶屋跡の案内板にあった写真だが、これによると最後まで接待を続けていた茶屋も昭和45年(1970年)に長いその歴史に終止符をうったとある。 いまでは林の向こうに平行して走る国道の車の音しか聞こえないが、以前はこの道を行き交う旅人に重宝がられたであろうことが容易に伺える軒先である。
御覧の石はどこにでもあるような岩だが、かぶと石と命名されている。 今年茨城県の堅破山(たつわれさん)に登った時、やはり道端の石に色々名前が付けられており、その中に兜石と云うのもあったが、余りにも多くの命名石があったので少々やりすぎの感があった。 この石は元々は兜坂にあったものを国道1号の拡張工事のために移設したとのことだが、旅人の道しるべとして自然に命名されたと思われる納得の石である。
この石畳は復元修理されたものだが、発掘作業の様子の写真をみると当時の状態と、ほとんど同じようなもので 中央の石橋を含めて当時のこの道の完成度の高さを伺わせる。
雲助徳利の墓 酒飲みの雲助を偲んで仲間が建てたといわれるめずらしいお墓です。
中山城は北条氏が永禄年間(1558年~1570年)に築城したとされる山城で、戦国末期の1580年に豊臣秀吉の大軍に一日で落城したといわれている。 写真は中山城跡の見取図だが、このような跡地を一回りするだけでも数時間かかりそうな広さだ。 今回は本丸・北ノ丸・二ノ丸跡と下半分を足早に見て、山を下りてきた。
錦田一里塚 日本橋から28番目(112Km)にある北側の一里塚で、国道を挟んだ南側にも残っている。
ようやく三嶋大社に到着 韓国など海外からの観光客もいて非常に賑わいを見せていて、お参りをするのも順番待ちだった。
三島市内のラーメン屋さんで昼食の後、三島駅近くの楽寿園(入園料300円)に立寄る 楽寿館の見学は1時間置きで、残念ながら5分差で間に合わず宝物の見学はあきらめる 写真は渇水気味の小浜池から見る楽寿館で岩肌は富士山の噴火の際の溶岩流だそうだ。 この湖面はいつも渇水が続き、満水になるのはめずらしいようだ。
今回の旅でもう一つ足を伸ばしてみたかった場所は、この柿田川だ。 現在、柿田川公園として整備されているので川辺に近付くことは出来ないのが残念だが、富士山の伏流水が集まるこの流れは意外に川幅が広く水量が豊富だ。
この写真は湧水場所だが、水底の地面から溢れ出る水の様子は写真では分かりませんが・・・
柿田川公園から東海道に戻り、八幡神社の裏にある対面石を見学。 この石は治承4年(1180)、鎌倉にあった源頼朝がこの地に出陣した。そのとき奥州からかけつけた弟の義経と対面し腰かけた二つの石がこの対面石だそうだ。
黄瀬川を越え潮音寺、日枝神社などに寄ったあと、沼津一里塚の横にあるこの玉砥石を見学。 この大小2つの石は今から千二・三百年前に玉類を磨き上げるために用いられたとある。 石にある直線的な溝に原石を入れ磨くとある。
今回は最後に川郭通りを回り沼津駅に向かった。
駅に着くころは暗くなって、雨も降り出したのでギリギリラッキーだった。
今回の旅は、欲張って楽寿園の見学や柿田川公園への寄り道もあり、総歩行距離27.9Km、所要時間は
昼食時間を除き8時間50分でした。