南アルプス南部の山域は登山口までのアプローチが長く気軽に入山することが出来ないので、つい先延ばしになっていたが、意を決して3連休を利用し椹島を起点に荒川岳・赤石岳をめぐる登山を実行に移した。
9月の3連休に1日休暇を加え最終日を予備日とし計画をしたものだが、まずまずの天候で満足の山行となった。
2012/9/14(金) 畑薙ダムから千枚小屋へ
コースタイム(行動時間5時間40分) 単独
椹島8:55-岩頭見晴10:05~10:18-清水平11:42~11:52-見晴台12:42~12:50-千枚小屋14:35
東海フォレストの送迎バス乗場の下に広がる大きな駐車場には平日の勢もあり車は半分ほどだろうか整然と並んでいる。
朝8時の発車時刻の丁度1時間前で、自宅から3時間半ほどでの到着だった。
駐車場の前から出発する東海フォレストの送迎バスは定刻前に臨時便が出るようで、登山者の半分ほどを乗せ、私も何とかこの臨時便に乗り込み7時35分ごろ出発。
定員の28名だったと思うが畑薙ダムの駐車場から丁度1時間ほどで椹島に到着。
綺麗な水洗トイレもある大きなロッジだ。
支度を済ませロッジの奥から登山道に入る。
椹島ロッジから一旦登山道にはいったが、すぐ車道に上がり二軒小屋へ向かう方向に少し歩くとこの滝見橋だ。
千枚小屋へのルートはこの橋の手前を左に入る。
沢沿いの道を歩くこと6,7分で対岸に渡る吊り橋に着く。
思いの外しっかりした橋であまり揺れることもなく気持ちよく渡れる。
吊橋を渡り45分ほどで岩頭見晴の岩場に到着。
前方に荒川岳を望むことが出来るすばらしい展望地だ。
ここで、この絶景を眺めながら小休止とし、少しお腹を満たす。
途中の清水平の水場は水量は少ないけれど、こんな場所の水は大変ありがたく、冷たい水を気持ちよくいただく。
見晴台に着いたころは雲の広がりが大きくなり、この後5分ほどですっかりガスで覆われ同時にこの荒川岳の姿もあっと言う間に雲の中となった。
しかも、雨つぶも落ち始めたためここで上だけだが雨具をつける。
稜線上の道でも周囲は木々で覆われているため、雨の量がそう多くなければ大してぬれずに済み助かる。
稜線の右手にくぼ地があり奥に小さな池が見える。
ここが、駒鳥池だ。
駒鳥池を過ぎてから登山道脇にトリカブトの花が多く見られるようになる。
そして、千枚小屋近くでは、こんなに綺麗に紅葉したゴゼンタチバナと青青としたゴゼンタチバナとが同居したものがあった。
どういう理由かわからないが綺麗で大変面白いカットだ。
最後に花を楽しみながら登り、今日の宿泊地千枚小屋に到着。
混み具合は連休前日ということもあり、寝具の寝袋を一人分づつ空けた状況であり、ゆっくりできた。
外は全く展望も得られないため食事前も、食後もゆっくり寝そべってくつろぎ そのまま早めに就寝。
2012/9/15(土) 千枚小屋から赤石小屋へ
コースタイム(行動時間7時間50分) 単独
千枚小屋4:35-千枚岳5:20~5:35-荒川東岳(悪沢岳)6:40~6:50-荒川中岳8:00-荒川前岳8:12-荒川小屋9:10~9:20-小赤石岳11:05-赤石岳11:45~12:00-富士見平13:45~13:55-赤石小屋14:25
千枚岳山頂で日の出と富士の写真を撮影しようと、まだ暗い早朝4時半過ぎにヘッドランプの明かりを頼りに小屋を出発。
しかし、明るくなるにつれ天候が思わしくなく、半ばあきらめつつ登り、千枚岳に到着しても残念ながら富士山や日の出の風景はほとんどが雲の中で、時折流れる雲の隙間に何とか富士を捕らえたのがこの写真という状況。
その後もしばらくねばったが結局改善せず、あきらめて上を目指す。
千枚岳から丸山まで登ってくると、前方に朝日に照らされた美しい荒川東岳が姿を見せてくれた。
そして千枚小屋から2時間強で荒川東岳に到着。
この時間になって天気にめぐまれ周囲の山々が360°の展望が得られる。
まずはお隣の荒川中岳と前岳の雄姿とやや雲に隠れ気味だがどっしりとした赤石岳の姿。
聖岳は赤石岳の隠と雲で隠れているが、右手に連なる兎岳から大沢岳などが確認できる。
そして富士は先ほどまでの雲も消え、美しい姿を見せてくれているが完全に逆光の中、少し雲に隠れたときをねらって撮影。
東岳で展望を楽しんだあと、中岳に向かう稜線を歩くがこの季節でもトウヤクリンドウ、ミヤマシオガマ、シコタンハコベ、マツムシソウ、等々 多くの花を見ることができたが、風が強くて撮影も思うようにならない。
トウヤクリンドウ ミヤマシオガマ シコタンハコベ
荒川中岳への登りの途中で、風をよけるちょっとした窪地で朝食のお弁当を広げ景色楽しみながら少しのんびりする。
中岳山頂に丁度8時に到着。
ただ、残念なことに丁度反対側から登ってきた20名ほどの団体と鉢合せとなり、のんびり過ごすこともなく早々に先を目指す。
中岳から前岳への分岐まで下った後、再び登り返して結局10分強で荒川3山最後の前岳に到着。
こちらには誰もおらず山頂をしばらく一人占め。
ここからの景色も最高で、今まで歩いてきた中岳の左手(北側)に塩見岳を初め南アルプスの北部の山々が見事に見渡せる。
しかし南側に広がる赤石岳聖岳方面はほとんど雲の中に隠れるようになっているのが残念だ。
分岐から荒川小屋に向かって前岳の斜面をつづら折れに下っていくとシカ避けの防護柵が設置されている。
登山道にはこんな扉が設置されているので、その都度開け閉めが必要だが、柵の外と内では咲いている花の多さに差が感じられたのでこの効果は大きいのだろう。
ウメバチソウ ミネウスユキソウ イワベンケイの紅葉
イワインチン アオノツガザクラ マツムシソウ
荒川小屋は下り始めの分岐から500m近くも高度を下げるので、周囲が少し樹木で覆われた場所になる。
ここも新しく、大変きれいな建物だ。
ここで、トイレのお世話になり軽く食料を詰め込んで小休止とする。
荒川小屋からまずは小赤石岳に向かって再び登り返すことになるが、丁度森林限界にある小屋の周辺ではナナカマドの実がすっかり赤くなり彩りを添えてくれている。
荒川小屋から40分弱で大聖寺平に到着。
周囲の展望が得られればこの付近も楽しめるのだろうが、この先もざれた岩の単調な登山道をひたすら丁寧に登って行く。
荒川小屋から1時間45分で小赤石岳のピークに立ちようやく一仕事を終えほっとしたが、山頂は完全にガスの中。
山頂標識の写真だけ撮って赤石岳までのんびり移動。
もちろん、この赤石岳山頂からもまったく周囲の展望は得られない。すぐ下にある赤石岳避難小屋もガスの切れ目にわずかに確認できた程度だ。
ここで昼食休憩とする。
後は、ここから赤石小屋まで下るだけだが、前後して一緒に登って来た一部の人は明日聖岳に登るため今日はこの先の百間洞山の家を目指す人もいた。
赤石岳山頂から小赤石岳とのコル(分岐)に戻り、まずは富士見平に向け下山。
稜線から谷筋を横断するように高度を一気に下げていく登山道が綺麗に見える。
山肌に刻まれた登山道はこんな桟道が多く設置されていて快適に歩ける。
富士見平に到着しても天候は相変らず回復せず、ここでもまったく展望は得られないが、早く下ってもしょうがないのでここでしばらく休憩。
赤石小屋到着14:25。
この時間で、通された部屋にはすでに多くの人達がくつろいでおり、置かれているシュラフのピッチは昨日の千枚小屋よりは細かい。
今日は大分混みそうだ。
2012/9/16(土) 赤石小屋から椹島へ
コースタイム(行動時間2時間40分) 単独
赤石小屋5:27-三角点ピーク5:43~5:48-赤石小屋5:57~6:00-椹島8:40
今日は椹島まで下山するのみなので、天気も良いため赤石小屋近くにある三角点ピークまで出向いてみることにした。
小屋の上から尾根上を15分ほどで2563,9mのピークに着く。
前日、小屋の人から樹木の間から富士山が見えると聞いていたので時間もあるので出向いてみましたが確かに大きく開けているわけではないが、丁度日の出直後の美しい富士山と出会うことができ思いの外の素晴らしい景色に大満足です。
このピークからは赤石岳も見ることができるが、残念ながら木々にはばまれ山頂部しか見ることが出来ない状況でした。
その赤石岳は小屋に戻る途中で、丁度 日の出を迎え赤く染まったこの山容と出会うことが出来ました。
そして小屋の前からも見ることが出来るのですが、聖岳も鮮明にその姿を見せてくれています。
聖岳の右手の三角のピークは兎岳のようですが、ここから見ると大変美しい姿で大変目立つ山です。
赤石小屋に戻った後、丁度6時に小屋を出発。
途中、地図上の2027mのピーク付近にある聖岳の見える小広場で休憩するつもりで下山をしていたが、結局その場所を確認できないまま下り、途中の少し展望のきく場所で10分ほど休憩した後 椹島に8:40下山。
赤石小屋から2時間40分だった。
椹島の売店で小屋の領収証を提示し送迎バスの乗車証を受取る。
バスの出発にはまだ大分時間があるためそばを流れる大井川の川原で少しのんびりしたりで時間つぶし。
畑薙ダムの駐車場に戻ってみると駐車場はご覧の通り、来たときの2倍はありそうな車の数に驚く。
今日の温泉は近くにある町営の白樺荘に立寄る。
この温泉はぬるぬるしたアルカリ質の良い湯で入浴料も500円と手ごろでよかった。
ここで、ゆっくり湯につかり昼食のラーメンを食べてのんびり帰宅。