幌尻岳を目指す人にとって、最近この新冠コースを利用する人が増えているようだ。
私も、計画段階で迷わずこの新冠コースを基に考えたのは、基本的には雨が降っても登山が可能である点で、額平川を遡行する一般的なルートでは川の徒渉を繰り返す必要があるため、雨で増水すると徒渉が困難となる場合があり、登山を見合わせることになってしまう点です。
遠方から来てチャレンジする者にとっては、計画の変更のリスクは低く抑えたいので、多少アプローチに時間がかかってもリスクが低くなるルートを選択することになります。
今回は、前日の羊蹄山往復登山に続き、百名山99座目の山行となるものでしたが、幸い雲海が広がる状況でしたが、青空の中幌尻岳の頂に立つことができました。
また、ガレた沢を越してから山頂部まで予想していなかったようなお花畑が広がり、花々の競演を楽しませてもらいました。
一日目(イドンナップ山荘から新冠ポロシリ山荘へ) 2017/8/15
コースタイム (行動時間5時間20分)(単独)
イドンナップ山荘駐車場8:45-林道ゲート8:55-新冠ポロシリ山荘14:05
前日の羊蹄山登山のあと、苫小牧に宿泊したが、苫小牧のホテルからここイドンナップ山荘まで5時間はかかるだろうと想定し、早朝に出発してきたが、実際には一般道になっている高速道路同等の道路のおかげで、4時間ほどで到着し、予定より大分早く歩き始めることが出来た。
イドンナップ山荘の駐車場から10分ほど歩くと林道ゲートが待ち受けている。
ここで登山届のノートに計画を記載し出発です。
次に待ち受けていたのが新冠川に架かる橋の上のゲートです。
ここまで厳重にゲートを設ける必要はないと思うのですが・・・・
ここでも、リュックを下ろし枠を潜り抜けることになりますが、一人だと大変です。
橋の上から新冠川を見下ろすと、こんな感じです。
ズームしてしまったので、川まで近く見えますが、結構深い谷になっています。
途中にある奥新冠ダム到着です。
ここまで、歩き始めて4時間半ほどでした。
この美しいアーチ形のダムでせき止められたた湖は幌尻湖と命名されたようです。
14時5分に新冠ポロシリ山荘に到着です。
イドンナップ山荘から5時間20分を要しました。
それにしても、最後に山荘まであと2Kmのカンバンを見た後、山と高原地図では湖の近くを歩く道のはずなのに、どんどん高度を上げ、しかも湖から遠ざかっていったので、ひょっとすると道を間違えたのかと考えてしまいました。
結果的に間違いは無く、あと2Kmのカンバンから35分ほどで山荘に到着しました。
林道は明らかに山と高原の地図にある林道の位置とは違っていました。
今日の宿泊者は15名程度と思いますが、意外に少なくて快適でした。
大分早い到着となったので、夕方も早目に食事を済ませ、就寝としました。
二日目(新冠ポロシリ山荘から幌尻岳往復後、イドンナップ山荘へ下山) 2017/8/16
コースタイム (行動時間12時間25分)
新冠ポロシリ山荘4:35-尾根取り付き地点5:20-中間点6:45-沢のガレ場7:25-幌尻岳山頂9:00~9:30-中間点10:45-尾根取り付き地点11:30-新冠ポロシリ山荘12:05~12:45-イドンナップ山荘駐車場17:10
早朝山荘前で朝食を済ませ、4時35分に出発。
途中、川沿いの傾斜面をトラバースする箇所があり、ロープが設置されていても危険な箇所があったが、山荘から45分ほどで沢の渡渉地点に到着。
もう少し水量が有るのかと思っていたが、小さな流れで飛び石で簡単に渡ることが出来ました。
ここを渡ってから尾根取り付きます。
登り始めからしばらくは朝露で濡れたクマザサの中を歩いてびっしょりになってしまったが、樹林の切れ間から背後の山々を展望できるようになってようやく歩きやすい登山道になり、やがて中間点のカンバン地点に到着。
ほとんど消えかかっていたが、中間点と記載されています。
でも、中間点ってどこを起点にした中間なんだろうか?
ここの標高は1420mでした。
尾根筋の登山道から水の流れも美しい沢に到着です。
今までは樹林の中でほとんど展望が得られなかったが、ここからは大分視界が開けてきます。
また、沢沿いにグンナイフウロなどの高山植物が見られるようになり、先が楽しみです。
ここで少々休憩。
少し高度を上げると背後に素晴らしい展望が得られるようになります。
眼下に幌尻湖が見え、右手にイドンナップ岳、左手にナメワッカ岳の山塊が見える素晴らしい景色が広がっています。
昨日まで、雨模様の日が続いたので、好天に恵まれ最高の景色です。
登山道脇の花々が多く見られるようになり、その都度写真撮影をしながら登ることになり、疲れを感じさせてくれない。
稜線近くにある前方の大きな岩がいい目印になっている。
ここで、登山道脇で見掛けた花々を紹介しますが、これ以外にイワギキョウやカラマツソウ、ミヤマシオガマ、ミヤマリンドウ、チングルマなど沢山の花々との出会いがありました。
シナノキンバイ グンナイフウロ ミヤマアケボノソウ
ミヤマアズマギク コバイケイソウ ミヤマアキノキリンソウ
イワオトギリ ウサギギク エゾツツジ
ヨツバシオガマ チシマヒョウタンボクの実 ウスユキトウヒレン
大岩と呼ばれる文字通り、大きな岩付近にきた。
上空に雲が沸き立っているので、稜線に上がってからの展望が気になる。
稜線に到着し、初めて戸蔦別岳側を展望することができたが、大分雲がかかっていた。
残念だが、早く山頂に立ち全景を眺めることに。
新冠ポロシリ山荘から4時間25分で山頂に到着。
幌尻山荘側からの登山者がいましたので、日本百名山99座目の記念に撮影してもらいました。
山頂から北カール越しに戸蔦別岳などを見たかったのですが、大分雲に隠されてしまっています。
雲がかからない時をねらって撮影しましたが、それでも山頂の端から幌尻岳の肩までは稜線が綺麗に見えているものの、そこから戸蔦別岳、北戸蔦別岳と雲に隠れ気味です。
それでも、姿を確認できたのは良かったです。
下山も時折り花を愛でながら下り、2時間35分で新冠ポロシリ山荘に帰着。
下山途中で出会った登って来る登山者の総数は9名でした。
早朝にイドンナップ山荘を出発した方もいました。
山荘に置いていた荷物をまとめ、山荘前で昼食を済ませイドンナップ山荘まで下山とする。
帰りは新冠ポロシリ山荘からイドンナップ山荘までは4時間25分という結果でした。
イドンナップ山荘までの歩きの中で、またもシマリスとの出会いがありました。
更に、イドンナップ山荘からの林道を走行中に、新冠湖畔で魚を咥えたキタキツネと出会い、またエゾシカとは頻繁に遭遇し驚かされ、北海道ならではの経験をさせていただきました。
結局、林道走行中にはすれ違う車も無くスムーズな走行で、予約した静内のホテルに予定よりやや早く19時半ごろには到着となり無事北海道2山目の山旅を終えました。