今年の夏休みはまだ登ったことがない槍ヶ岳を組み入れ、穂高から槍への縦走を計画した。
しかし、山の天気は気まぐれで、晴れ予報を見事に覆し、始終霧と小雨の中を展望の得なれないまま歩き、山行を終えることになってしまった。残念!槍ヶ岳は是非またチャレンジしたい。
1日目(2011/8/16)
コースタイム(行動時間9時間50分) 単独
河童橋5:05-岳沢登山道入口5:20-岳沢小屋7:15~7:40-紀美子平10:20~10:30-前穂高岳11:00~11:15-紀美子平11:40~12:00-奥穂高岳14:10~14:20-穂高岳山荘14:55
前泊した河童橋近くの上高地アルペンホテルを5時前に出発し、河童橋から少し歩き始めると真正面に岳沢が見える。
いつ見ても穂高を正面に見るこの景色はすばらしい。
河童橋から早朝の林の中を15分ほど歩くと穂高・岳沢登山路の入口に到着する。
(写真は帰路撮影)
うっそうとした森の中を45分ほど登ってくると沢のガレ場から眼下に上高地の景色が展望できる地点に着く。
沢沿いに詰めていくルートなので始終眺めが良さそうな気がするが、おおむね木立の中を歩くものでここで初めて視界が開けた。
梓川沿いの赤屋根の近くに河童橋も確認できる。
岳沢小屋は最後に沢のガレ場を横切って、右岸に渡ると新しく綺麗な小屋に到着する。
登山口から2時間ほどかかり、丁度お腹も空いたのでここでホテルで前夜に受取った朝食の重箱弁当を広げる。
小屋での朝食休憩のあとも少し同じような登りをこなしていくと徐々に傾斜がきつくなってくる。
そして、小屋から40分ほどの所には長いハシゴが待ち受けている。
この付近からは鎖なども敷設され、一気に高度を上げる登山道となる。
ハシゴを越え振り返ると岳沢の中に建つ小屋が眼下に小さく見えるほどの高さになっている。
登山道脇に咲く色々な花を楽しみながら登って来て振り返ると、稜線の向こうがガスに覆われ切り立った尾根と登山道が印象的に見える。
ここは特別に大きな広場が存在するわけでなく、山肌の一角のわずかなスペースに道標が設置されているだけの場所だ。
ここから山頂へは殆どの人がザックを置いて空身で往復するため、付近には多くのザックが置いてある。
天気も心配なさそうなので、私も準備をして空身で出かける。
前穂高岳山頂到着11時丁度。
紀美子平からコースタイム通りの30分で到着。
ただ、生憎 山頂にはガスがかかり視界がほとんど得られない。
ここから穂高の山々や槍ヶ岳の展望を期待したのだが・・・・
結局、15分ほど山頂にとどまってガスが切れるのを待ったが、あきらめて下山。
再び紀美子平に戻り、昼食を済ませたあと奥穂高岳に向かって吊り尾根のトラバースルートに入る。
ルートは岩稜のすぐ下に付けられており天気が良ければ気持ち良く歩けるのだが・・・・
吊り尾根の鞍部から少しづつ高度を上げ始めていると幸運にも一時的にガスが晴れ、今まで見ることが出来なかった前穂高岳がその全容を現した。
若い頃登った北尾根のピークの連なりも綺麗に見える。
そして、涸沢側を覗くと涸沢カールの中に点在する色とりどりのテントや小屋が確認できる。
しかし、ガスが切れたのはほんの一時で、周囲は再び白い空間に包まれてしまった。
ガスの中を奥穂に向かうとき今回初めて雷鳥の姿を確認。
雛もいたが、2羽同時には写せなかった。
紀美子平から2時間10分だった。
ガスで周囲は全く見えないのが残念だが、山頂に設けられた祠の前で証拠写真を撮影。
午後2時を過ぎると大分登山者の姿が少なくなる中、西穂からガイドに導かれ登って来た人もいた。
山頂から20分ほどで、今日宿泊する穂高岳山荘が眼下に見えてくる。
奥のピークは涸沢岳だ。
最後に小屋への下りは長い鉄バシゴが待ち受けている。
最後の最後で落ちて怪我でもしたら大変と、慎重に歩を進める。
穂高岳山荘到着14:55。
無事、初日の行動を終える。
本日の行動時間9時間50分で、予定より少し早い結果でした。
2日目(2011/8/17)
コースタイム(行動時間9時間35分) 単独
穂高岳山荘4:40-涸沢岳5:20-北穂高岳7:50-北穂高小屋7:55-南岳小屋10:55-南岳11:10-中岳12:45-槍ヶ岳山荘14:15
濃霧で視界は悪かったが前日の天気予報では日中は晴れマークだったので、天候の回復を信じて夜明け前に出発。
ガスで周囲が見通せないため、時々ルートを確認しながらまずは涸沢岳の山頂に立つ。
涸沢岳からもガスは一向に晴れる様子もなく、むしろ小雨まじりとなりアップダウンの激しいこのルートでは一層緊張を強いられる。
2日目も雷鳥の親子に出会う。
今回は雛が4羽もいた。
涸沢岳から2時間30分で北穂高岳到着。
あまり出会う人もいなかったが、たまたま山頂にいた方とお互いに記念撮影。
山頂から5分程で北穂高小屋に着く。
今は殆ど人もいない様子。ここは休まず通過。
北穂高小屋からの下りで再び岩場の核心部に至る。
ナイフエッジの岩場も足場が良く見えなかったため一瞬とまどったが、ここも慎重にクリアー。
ガスと小雨で視界が悪いため高度感は幾分和らぐかもしれないが、足場が滑りやすいためしばらく緊張の連続だ。
悩みの種はめがねの曇りにより視界が悪くなることだ。
めがね拭きを度々やらなければならない煩わしさいやになる。
北穂高小屋から約1時間でようやくA沢のコルに到着。
ここは白ペンキで表示してあったので現在地の確認が出来た。
風も強いため東側の岩陰で適当な場所を見ては適宜休憩を入れる。
どこが大キレットか判断できないまま進んでいるうちにまた、垂直の長いハシゴがあった。
南岳小屋を確認したあと15分ほどで南岳山頂に到着。
さらに天狗原への分岐を過ぎ到着時間も読めてきたので急ぐ必要もないため周囲の花を眺めながらのんびり歩くこととする。
岩場に張り付くように咲くチシマギキョウは
露で濡れ一際美しい。
チングルマの花穂も初々しく
清楚な趣を見せる。
結局、晴れる気配さえ見せず最初から最後まで霧と小雨の中を歩き槍ヶ岳山荘に到着。
穂高岳山荘から9時間35分だった。
3日目(2011/8/18)
コースタイム(行動時間8時間35分) 単独
槍ヶ岳山荘5:10-槍ヶ岳5:40~5:45-槍ヶ岳山荘6:05~6:30-天狗原分岐7:50-大曲8:25-槍沢ロッジ9:10~9:25-横尾山荘10:40~10:50-徳沢園11:45~11:50-明神館12:35-上高地バスターミナル13:45
前夜に槍ヶ岳山荘に設置してあるパソコンの天気予報サイトの情報では午前中は晴れ予報だったので、またまた淡い期待をしていたが残念ながら前日と同様の霧に包まれた朝だった。
夜明けと共に空身で槍ヶ岳山頂を目指し山頂直下の鉄バシゴを登る。
山頂には時々数名程度が上がってくる程度だが、こんな天気でも人が途切れることがなさそうだ。
初めての槍ヶ岳もただ山頂を極めた写真を撮影し5分ほどで下山。
槍ヶ岳山荘に戻り荷物を整理した後、6時30分に槍沢へ向かい下山開始。
天狗原への分岐を過ぎて大分周囲が明るくなりガスも切れてきたので、ようやく遠方が見通せるようになって来た。
赤沢岩小屋あたりで振り返ると思いのほか上部まで景色を確認できる。
槍沢ロッヂ近くまで下ってくると左手に見事な岩峰がそびえている。
これが、カブト岩と命名されている岩のようだ。
槍沢ロッヂで小休止のあと沢沿いに下ってくると槍沢の流れが幻想的ですばらしい景観を見せてくれる。
その後、横尾山荘で小休止し、徳沢園、明神館と下って来たあとは、明神橋を渡り梓川の対岸(右岸)から上高地に戻ることにした。
この付近まで来ると登山客より一般の観光客の方が多くなり混雑を見せている。
河童橋を渡り上高地のバスターミナルに到着したのは13時45分で槍ヶ岳山荘から7時間15分だった。
ターミナルはご覧のような混雑ぶりで、沢渡大橋までのシャトルバスも10分ほどの待ち時間はあったが、順調に終点の沢渡大橋まで戻る。
今日の温泉は沢渡温泉ではなく、20分ほど寄り道することになるが乗鞍高原の 「湯けむり館」まで足を伸ばした。
ここは白濁した酸性湯が特徴で、いかにも温泉らしい湯がいい。
今回は天候に恵まれれず残念ではあったが、緊張の多かった3日分の疲れをゆっくり癒しのんびり帰路につく。